A murmur of Kai

今年のモットー「挨拶はした者勝ち! 相手の為ではなく、自分の為!」

 

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くちぶえ 

ピクシブにアップした、夏目SS

アリスで使ったネタの二番煎じ。
でも、ちょっと増長的だね。
夏目と田沼でする必要性も感じないし・・・



#ピクシブで「なにこれかわいい」ってタグをつけてもらった♪
 可愛いイラストとかによく、他の人がつけるタグみたいで、
 ちょっと憧れてた(大げさっ)のでちょっと嬉しい♪






「~~♪」

 田沼が口笛を吹いている。

 日曜日の昼下がり。
 夏目と田沼は、田沼の部屋で、思い思いに漫画を読んだり、音楽を聴いたりしてくつろいでいた。
 今流れているのは、西村が強制的に押しつけてきた、彼一押しのアイドルグループの新譜だ。
 田沼も自分も、さほど興味があるわけではないのだが、一応一通り聴いて感想を述べないと西村が拗ねてしまうので面倒この上ない。

 その中の、某自動車メーカーのCMにもなって、ただいま大ヒット絶賛中の曲に合わせて、田沼が漫画を読みながら口笛を吹いている。


「田沼、口笛うまいんだな」

 1コーラスほど聴いた後、そう声をかけると田沼は、

「えっ!」

 と、一瞬目を丸くしたあと、ぱぁっと耳を真っ赤にさせた。
 その表情は、普段、どこか大人びてクールな雰囲気を漂わせている田沼を、ひどく幼く見せる。
 夏目は、そうやって田沼が、二人だけでいるときに、いろんな表情を見せてくれるのが好きだ。
 表情豊かとは言えない田沼が、無防備に心の動きを表情に乗せて見せてくれる度、自分が彼にとって特別な証のように思えるのは自惚れだろうか?


 夏目は、田沼に恋をしている。

 自覚した時から、一生胸に秘めて、一人であたためていくだけの想いだと諦めていた。
 そんな夏目に、好きだと告げてくれたのは田沼の方だった。
 無表情に淡々と、業務連絡でも告げるような口ぶりで。しかし、それとは裏腹に、彼の硬く握りしめられた拳が、小刻みに震えているの気がついてしまった時、自分も好きだと告げてしまった。

 そんな訳で、二人は男同士だけれど、恋人同士だ。
 恋人同士だけれど、未だにキスはおろか、たまに手をつなぐのが精一杯。
 今時の中学生……いや、小学生でもしないような、幼い恋をしている。


「夏目、きいてたのか」
「ん?きいてたよ。田沼、うまくてびっくりした」
「うわー……恥ずかしいなあ。もうっ 」

 耳の赤みを頬まで広げて田沼はうつむいてしまった。
 夏目が、ずずっと近寄って下からのぞき込むと、ちょっとふてくされたように顔を背けてしまう。それを追いかけて、さらにのぞき込んだら、いささか邪険に肩を押しのけられてしまった。

「上手だって言ってるんだから、恥ずかしがることないじゃないか。もっときかせてくれ」
「やだよ。夏目も……そうだ!夏目の口笛もききたい」
「え!?おれ!?」
「そう。おれだけずるいだろ」
「ずるいって、田沼は勝手に吹いてたんじゃないか」
「そ……そうだけど……夏目は口笛吹けないのか?」

 訊かれて、ちょっと考えた。
 そういえば、口笛なんて吹いたことなかった。学校の音楽で習うようなものじゃないし、自然と身につくようなものでもない。おそらく皆、親や兄弟に教わったり、友達と遊びながら吹けるようになるものじゃないだろうか?
 当然、自分にはそんな機会が与えられたことはなかった。

 田沼はどうやって吹けるようになったのかな?
 お父さんに教わって?……ご住職の姿を思い浮かべて、ちょっと想像がつかないな…と苦笑した。

「吹いたことがないからわからないよ」
「じゃあ、ちょっと吹いてみて?」
「田沼みたいに上手に吹ける自信がない」
「いいから。吹いてみろよ」

 いつもどこか夏目に遠慮がちな田沼が、珍しく強引だ。
 なんとなく逆らえない雰囲気で、夏目はしぶしぶ、まだ流れている音楽に合わせて音を出そうと……

「~#」

 あれ?

「~♭~#」

 ぷっ……田沼が吹き出した。

「田沼っ」
「ごめんごめん……」
「……やっぱり吹けないみたいだ」
「そこまで吹けないのも珍しいな」
「ほっといてくれ。おれはもういいよ。田沼の、もう一度聴かせてくれ」

 さっきは聴かれて恥ずかしそうにしてたくせに、今度は妙に得意げに吹き始めた。
 こいつ……おれが吹けないからってっ
 ちょっとだけ、むっとして……でも、やはり田沼の口から流れるメロディはなめらかで伸びやかで、夏目の耳に心地良く響いて聞き惚れた。

「やっぱり上手だな」
「そっか? 夏目も練習すればこれぐらいすぐ吹けるようになれるよ」
「そうかな?」
「うん。おれが教えてやろうか?」

 またまた得意げに申し出てくるのに、ちょっと苦笑する。
 でも、田沼に何かを教わるのは好きだ。優しくて丁寧で、根気が良い。

「うん。教えてくれ」

 
「まずは、音を出すことからだな。ほら、口を小さくすぼめてとがらせて」
「こう?」
「うん。それで口の中を丸くふくらませるようにして……~~♪」

 田沼のする様子をじっとみて、その通りに試みる。

「~#」

 かすれた息のような、調子っぱずれな音しかでない。

「だめだ」
「でも、さっきよりは音になってるよ」
「そうかな」
「うん。続けて」

 田沼に真剣に見つめられてちょっとやりずらい……けど、何度も繰り返しているうちに、少しずつ『音』になっていくのがわかる。それが楽しくて夢中で吹いていた。
 気がつくと、田沼は無言で、なにやら小難しい顔をして、じっと夏目の口元を見つめている。
 んんん……ますますやりずらいではないか。

「田沼?」
「え?……あ、ああ、ごめん。ほら、もうすこし口とんがらせて」
「うん……」
「それから……」
「それから?」
「目を閉じて」
「え!? どうしてだ?」
「その方が、初心者には上手く行くんだよ」
「えー。そうかあ?」
「そうだよ。ね、おれのこと信じて?」

 ああ、そんなこと言われたら、そうなのかも……って思ってしまうじゃないか。
 夏目は、なんとなく釈然としないものを感じながらも、素直に、目を閉じた。

「少しあごをあげて?」
「うん」

 一瞬何かが唇に触れた。
 びっくりして、思わず目を開ける。

「え!?な……なに?」
「夏目……目を開けないで」
「あ、うん……」

 なんだか田沼の言葉に逆らえない。
 もう一度、まつげを震わせながら目を閉じると、今度ははっきりと、少しかさついていて、でも柔らかいものが唇に押し当てられた。

 もう、それが何か、夏目にはわかってしまった。


――ああ、おれ、いま田沼にキスされてるんだ


 触れるだけ、押し当てられるだけの、なんとも稚拙なキスだ。
 でも、それが田沼から与えられていると思うだけで、体中が熱を帯び、頭の芯がしびれそうになる。
 
 何秒もかかってないだろうに、ひどく息苦しい気分になって、田沼の肩にしがみついた。
 それが、合図のように唇が解放された。
 思わず、ほぅっとため息が出る。

「ごめん……」

 田沼がぽつりと言った。

「なんで……謝るんだ?」

 謝らないで欲しい……謝られると、少し傷つく。

「嫌じゃなかった?」

 そんなの嫌なこと、あるわけない。
 田沼が同じ想いでいてくれたとわかったあの日から、ずっとこうしたかった。
 こうしたかったってことに、今気づいた。

「嫌じゃない。おれ……こういうこと慣れてないから、自分でもわからなかったけど……でも、ずっと田沼とこうやって触れあいたかったみたいだ。田沼から……その……キスされて嬉しかった。田沼……おれ……」

 キスで強引にひきずりだされた田沼への気持ちが、嵐のように夏目を翻弄する。
 こんなに好きで、田沼が好きで、なんだか怖い……夏目は、彼の背に腕を回してぎゅっとしがみついた。そして、彼の肩に子供のように鼻面を押しつける。田沼は片手で夏目を抱きかえして、もう片方の手で髪をぎこちなく撫でてくれた。


「夏目、好きだよ」

 その言葉を聞くのは、告白された時以来だ。
 あの時よりも、深い幸福感に満たされる。

――おれも好きだよ。田沼が好きだ……

 夏目は、そうこたえる代わりに、もう一度田沼の目の前でそっと目を閉じて、調子っぱずれの口笛を吹いた。
 
 田沼はそれに小さく笑って、今日3回目のキスをくれた。 

   おわり
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